実績紹介
誰もが知っているガラス。 その魅力を、来場者と共に改めて紐解く体験。
ガラス材料およびガラス産業の過去・現在・未来を称え、祝福する目的で定められた「国際ガラス年2022」。世界最大級のガラスメーカーであるAGCも、これを記念して特別企画展を開催することとなりました。技術的な優位性が高い商材は、技術説明やスペック展示が一般的ですが、それでは産業やR&Dとしてのアプローチしかできません。本展示にはガラスに関わる全ての方へ、ガラスの持つ魅力を共に考えるきっかけを作るため、ガラスという存在の文脈を汲み、ステークホルダーから一般の方まで多岐にわたる来場者が興味を持ち共感していただけるような企画・ディレクションをしたいと考えました。
何を語りたいか、何を語るべきかを整理し再構築する
特別企画展ならではの幅広い来場者の心をどのように掴むかがポイントでした。そこでガラスの化学や社会意義だけでなく、身近に感じられるような魅力やおもしろさも伝えるべきだと考えました。シンデレラのガラスの靴はガラスでないといけなかったのか?ガラスのハートはなぜガラスっていうの?など、誰もが思い浮かべることができるガラスから、10年後の未来に普及するであろう誰も知らない最先端医療に使われるガラスまで。ディスカッションを重ね、AGCがもつ専門知識にアートフリークの生活者視点やクリエイティブな視点をミックスさせ、成果物に落とし込んでいきました。
製品や素材としてのガラスではなく、その概念を問う展示
決定したテーマは「ガラスの正体」。あえて普遍的で抽象的なタイトルにすることで、会場で体験時の驚きや納得感を最大化する目的がありました。ガラスが、素材や製品として今の在り方になるまでに、地球環境や人間社会、ひいては人間の感情にどのようなフィロソフィーを持ちどう変化してきたのか、そして未来はどうなりうるのか。多角的な視点からガラスを見つめ直すようなコーナーを通じて、来場者同士で自然と会話や議論が起こるよう余白を残して演出しました。また、来場者に問を投げかけるような語り口で、一般の方には疑問や興味を抱かせるフレンドリーさを含みながら、ビジネスパーソンに対しても簡潔で真摯に伝わるような世界観を構築しました。
デザインと言葉の調和で行間を表現する
会場は「ガラスとは〇〇である。」の6つのフレーズで構成。わかりやすくも力強い言葉だからこそ、それらと調和しつつも埋もれず主張するデザインが必要でした。展示タイトルやコーナータイトルにはヒゲつきの文字組を採用し、モチーフのガラスと同様に歪ませたり曲線を用いたりすることでガラスの持つ形状の自由度や「何にでもなれる変化」を文字自体にも宿らせました。また、コンセプトカラーを白やグレー、ペールトーンでまとめることでテーマの曖昧さや不思議さを表現。その他、展示製品を指定の場所に置くことで開発プロセスと世の中にどう役立つかがモニターに映し出される映像コンテンツや、世界観を踏襲したスペシャルWEBサイトとインタビュー動画なども制作。来場者が体験することで完成するコンテンツやガラスの文脈・情緒的価値にフォーカスしたコーナーといった、あえて余白を残す展示によって多くの来場者の興味と共感を生むことができました。
●Point
◯展示テーマや伝えるべき内容を提案。クライアントからのオーダー時より新しい視点を持った展示を実現。
◯企画展の全体設計やキービジュアルはもちろん、WEBサイトやインタビュー動画等の様々なメディアを使い、世界観やメッセージの強度を上げていく。
◯各コーナーで展示物や展示方法、グラフィックのタッチや表現に幅をもたせ、統一感のある世界観の中に飽きさせない工夫を施す。
CREDIT
Client
AGC株式会社 様
Category
WEBサイト、キーヴィジュアル制作、映像制作、展示会会場装飾